宮城県内で演劇活動を行うU-25の学生・若手に向けたプロデュース公演企画団体「ひのき舞台」のメンバー。
フリーランスの俳優として、ここ一年で6作品、すべて別の団体に、出演や企画をしておられます。
ハイペースかつカラフルな活動の原動力や、今現在の活動と、これからについて、2024年4月に伺いました。
今は、動き始めている段階のものが一本あります。それに、KOMOBASEで、幼稚園や小学校低学年向けのアウトリーチ演目を作ろうとしていて、その若手枠として参加しています。
それに、「ひのき舞台」が動き出しているのと、あとは、MCのお仕事で決まっているものはあります。
役者は……稼げないので……。就活と並行しながらです。
かたちとして……
ダミーというか、心の持ち方として。僕の「真剣」って、のめり込みすぎてしまうので。卒論と就職活動と演劇活動を同時には無理だ、と。なので、一人でやろうとしないで、大学のキャリア支援課の人とかを頼って。
自分の活動の中心に、演劇があって。条件がぴったり合うやつじゃないと就職しないって決めて、無かったらフリーターですね。フリーターでもいい、て思うことで、自分の心の余裕をあける、という。今はずっと仙台で活動しようと思っていますけれど、お金をためて新国立の養成所とかもいいのかなあ、とかいろいろ考えていて。
狭き門ではあると思うんですけど。いろいろ計算していろいろ調べて。東京で住んでいくお金まで貯めようと思うと大変なので、ある程度学費を賄えるくらいとか貯めて、貯まってから考えよう、とか。どうしても、親に頼ってばっかりじゃいられない、というのもあるので。
それを貯めるための、就職、みたいな(笑)
ちゃんと学べたり食べれる環境が宮城にあるっていうのも大事なことで。あと、宮城といえばこれ、という劇団がまだない、とかも。
僕らが大人になるくらいにそれができないと、大変なことになるな、と。なのでもう、受動的じゃいられないな、という。
先日の10-BOXの利用者説明会でも、知らないことばっかりで僕らも。僕らからしたら、キッチンが使えないとか、「あそうなんだ」、くらいの。僕ら(2002年生)の時はもう、コロナでしたから。衛生意識が。ごはんもみんなバラバラに食べる、みたいな。まかないとかやってたんだー、ていう。ナイトパスとかも、どう使うんだろう、とか言ってる間に廃止、みたいな。
大学団体とかも、継承されているものが、無い、みたいな。だからもう、廃部の危機、みたいなのもあるので。ひのき舞台では、今、みんなの悩みとかを集めて、仙台の先輩方とか技術を持っている人とかと繋げよう、という意識があります。
今、若手に働きかけている人、というと、2,3人とかしか聴こえてこなくて。なら、他の演劇人とかとも出会ってもらって、いろんな技術や価値観があるんだっていうのを提示するのが大事なのかなと。演劇で食っていっている人もいれば、別で仕事をしながらやっている人もいて、とか。様々な価値観ややり方があることとか、仙台が昔どうだったとか、ちゃんと知る機会がないと、若手が離れていくのも仕方がないかなと。
ぜひぜひ。
仙台でこれっていう団体を聞かなくて。いろいろあるのはいいことだと思うんですけれど。
僕も、高校卒業したらSENDAI座☆プロジェクト(2007年発足、2020年解散)に入る、とか思っていたんですけれど、卒業のタイミングでなくなってしまって。他所へ行くよりは、もうフリーでやっていこうと。大学四年間は、フリーでやっていこうと決めまして。フリーはいろんな劇団に客演でいけるのが強みだと思っていて。あと、いろんな団体の人と、団体としてではなく個人として会話ができる、というのも、やってみたらすごく強みだなと。
いろんな団体さんと、分け隔てなく接して、いろんなお話を伺えるという。
そんな強みもありますし、いろんな劇団さんに出てみよう、オーディションはなんでも受けよう、みたいな。
そうですそうです。フリーになるなら、と。あと、あんまり団体の中で競い合う、というのが好きでなくて。あわあわしてしまって。団体内でキャストが選ばれる、みたいなのが苦手で。いろんなところに気を使ってしまって。高校で選抜メンバーとかでやるとき、生徒会長をやったりしていたりもしたので、選ばれなかった側の話を聞く機会とかもたくさんあって。あんまり人が多いのは大変だなと。
そもそもは声優志望だったので、高校は声優も目指せて大学進学もできそうなところを選びました。高校のコースが、声優系か、舞台俳優系かで分かれていたのですが、非常に悩みました。容姿に自信もなくて。高校一年のコースを決める頃に、戸石みつる先生の勧めで、エル・パーク仙台にSENDAI座☆プロジェクト「十二人の怒れる男』(2018年)を観に行きまして、「これはやばい! あれやりたい!」となりまして。それが、舞台俳優志望に変わったきっかけでした。もともとミステリとか、『相棒』とか好きなタイプで。「あの熱量を、お芝居でやりたい」、と。
そうでした。
その後、『ナイゲン』(劇都・仙台演劇祭(仮)プレイベント メインステージ「ナイゲン」)に、高校一年生の最後の頃に、仲間でみんなで参加してみよう、と。高校の僕の代が、すごいやる気のある人が多くて。みんなで「やろう!」と決めて。学内の発表とかも直前にもあったのですけれど。
出演者の半分くらいは知らない方々だったのですけれど、その時共演した方々は、今も何人も演劇を続けています。米山陸(劇団ざくろう、劇団 東北えびす)さん、田川遥(劇団ざくろう、演劇ユニット石川組)さん、山田優輝(劇団ざくろう、丸福ボンバーズ)さんとか。
高校では、割と中でやっていたような感じが自分にはあります。他には『Play Kenji』のリモート版(2020年 高校生と創る演劇 リモート版創作・作品配信 PLAY KENJI『人や銀河や修羅や海胆は』)に出ました。コロナ禍で一度中止になった企画が、またやるというので参加したかったのですが、ちょうど受験とかぶってしまって。でもリモートでは出演できました。その、二つくらいです。
そうですね、高校が、歌やダンスやMCの発表会やステージの機会が多い学校で、2,3か月に一本くらいはステージに出ていました。
舞台が一本終わる前に、次の稽古が始まる、とかは、高校の時からそうでした。当たり前すぎて、がつがつやっているというイメージが自分にはなかったです。周りの方には、頑張ってるねとか、たくさん出てるねとかおっしゃっていただくのですが、自分としてはそんな意識は無くて。これくらいがあたりまえでした。むしろ、もっと何かないかな、くらいの。『ひのき舞台』も、それでやるようになった、という。
「ひのき舞台」ではもともと出演希望でした。同年代の方々をあまり知らなくて、一緒にできるなら全然やりたい、くらいの気持ちでいたら、制作で! て(笑)
僕らもそれをネックに感じていて。同年代は、いるけど、分からない、みたいな。ひのき舞台で大学演劇部にヒアリングしていくと、「他の演劇部との関わりが、とうほく学生演劇祭くらいしかない」「客演し合うとかの文化も途絶えている」とかの声が聴こえてきます。もともとひのき舞台では、僕とか戸田悠景とかが自分たちの人脈を生かして若手を支援していくのが良いのかと思っていたのですけれど、むしろ、大学団体同士の交流に力を入れていくといいのかと。本田椋(劇団 短距離男道ミサイル)さんから、昔やっていた東北電力の企画のこととかも聞きまして。
ぜひぜひ。
まだあんまり関わったことのない方々とかも結構いらっしゃるので、そういう方々とも一緒にやりたいというのがあります。僕のわがままなんですけど、まだ全然活動してない、と思っていて。まだまだやりたい、まだまだやれる、と。あの、高校の時からの目標で、信頼される役者になりたい、というのがありまして。「大村ちゃんが出ているなら面白いだろうから観にいこう」とか、「ここの役者が足りないの、大村ちゃんなら安心して任せられるな」とか。そうなるための勉強がしたいですし、場数も踏みたいですし、人脈も作っていきたいなと。
あと、同年代と一緒に活動していくことも大事だな、というのもわかってきたので、戸田っちだけじゃなくいろんな、同い年の人と、作品を作る、というのももっとやっていきたいです。
いま、一年生とか二年生とかの子たちもひのき舞台に入ってきてくれているので、そういう子たちとも、一緒にやっていく中で、継承もしていきたいなと。
とにかく自分は周りに恵まれているというのがまずいちばんにあります。同年代でも戸田ちゃんとか小西奏太(宮城大学演劇集団Arco iris)君とか、みんなすっごいアタマいいし、いろんなことをとちゃんと考えてて。タイプも違っていいところもたくさんあって。
人のいいところを探せるというのが自分の強みだと思っています。それを、他の人にどう伝えていくのが良いかなと考えています。
いつか機会があればぜひぜひ。
ひのき舞台での各団体とのヒアリングとかも僕がしていて、人の話を聞くの好きなので。あの、高校時代、人をズルいと思うことが多くて。それがすごい、イヤだったんですけれど。言い方を変えれば、人のいい部分が見えるってことで。それを、活かした方向にしようって思って。ズルいじゃなくて、良いなあ、って。
いやいや(笑)
鈴木萌加(山形大学演劇集団舞台工房、 ひのき舞台Version1:『桜の園』出演)ちゃんとか、山形と仙台を行き来しながら、自分の団体もやりつつ、とか、すごいなと。
あと、山口幸晟くん、短距離男道ミサイルの新劇団員の。演劇マジでやったことなくて、ミサイル一本も観てなくて、入ったらしいんですよ。
でもすごいセンスが良くて、人をひきこんでいける人だなと思いますよ。
もっとお仕事が欲しいです。
大村は好奇心で動いてるんですよ。好奇心で本を読んだりいろんな活動をしたり。でも全部演劇につながると思っているので。役者以外の舞台のことも、みんな知りたい、と思いながら、制作もしていたり。だから、いろいろやっていきたいです。
うーん。
企画をやるとかも今回初めて知りました。
あでも、昔の劇団に入っていた方からしか、仙台の演劇の今までを知れなかったんですね。先日の10-BOXの利用者説明会の帰りに戸田っちとしゃべっててたんですけど。昔の劇都仙台と今を、大人たちは比べているけれど、僕たちはその劇都仙台のことは知らないよね、と。全盛期がどうだったのかわからない。そういうのを若手がもっと知れたらいいな、ていうのがあって。それは、ひのき舞台でやろうとすると難しいんですよ。知れたらいいな、というのがちょっとあります。
たしかに、楽しそうかもしれません。
結局仙台にどういうカラー・歴史の劇団があるのか、というのは、聞かないし調べても出てこない。団体に所属するのの怖さがそれで若手にある気がして。
一覧、みたいな。
各団体がどういうコンセプトでやっているかとか、経緯とかも全然わかんなくって。周りの人に、劇団入りたいんだけどどこが良い? とか聞かれても全然わかんなくって。ここ新人募集してる? とか。わかんないのが、これから始めるって子が悩んでるイメージが結構あって。
フリーでやればいいよ、とは大村的には気軽には言えなくて。でも「君にはここが良いよ」とかも団体を知らないから言えないですし。
あ、公開収録のラジオ、とか。音声ありがたいですよ。通勤中とか運転中とか聴けて。乗り物酔い酷いと文章見れませんけれど、音声は大丈夫。
ぜひぜひ。
ありがとうございました。
2002年生まれ。宮城県塩竈市で生まれ育ち、現在は大学生として心理学を学びながら、仙台を中心にフリーの俳優として活動中。高校から舞台演劇、アフレコ、ダンス、歌唱などを学んだ経験を活かし、俳優のみならずMCやナレーション、ダンス、ゴスペルなど幅広く活動を行っている。好きなものは、ミルクティーと大きい犬。
主な出演作品
・2019年 劇都・仙台演劇祭(仮)プレイベント『ナイゲン』
・2022年 A Ladybird Theater Company プロデュース公演『Snowdrop』
・2023年 劇場R『キル』
・2023年 大人のための演劇クラブ2023=番外編=『ギラギラの月』
・2024年 塩竈夢ミュージカル『愛しい人へ』