『杜の都の演劇祭2016 -ひろがって-』

仙台の冬の風物詩としてすっかり定着しています「杜の都の演劇祭」の予約受け付けが始まりました!
様々な飲食店でリーディング作品(主に)を楽しめる仙台の演劇祭、今年の内容は

  • 4つのオリジナルプログラムに加え、三重のM-PADとの交換作品(エクスチェンジプログラム)が1つ、さらに、関連公演(フリンジプログラム)が8つあり、そのうち2つが県外から参加。
  • 原作となる文章は、小説が5つ、戯曲が5つ、詩が1つ、マンガが1つ、ハウツー本(?!)が1つ。

と、作品の創作地を見てもジャンルを見ても、今年のテーマ「ひろがって」にふさわしい内容です。
 当サイトでももちろん全ての公演情報を掲載しております。以下に紹介します。(文中敬称略)

オリジナルプログラムA 『中二階』

作 ニコルソン ベイカー 訳 岸本佐知子【小説】 プログラムディレクター 鈴木あいれ(コメディアス)
2017年1月10日(火)〜13日(金)
会場 Cafe MythiQue ミティーク
細かい愉快な注釈芸(?)が特長の、一風変わった小説のリーディング上演を、注目の若手劇団コメディアスの鈴木あいれが演出。近年はSENDAI座☆プロジェクトに多く出演している中堅俳優、松崎太郎と、短距離男道ミサイルにも出演した若手俳優、武長慧介(コメディアス)の競演にも注目です。会場であるミティークのケーキは、カジュアルで小ぶりながら丁寧な仕事で美味しいです。(本儀)

オリジナルプログラムB 『ダス・ゲマイネ』

作 太宰治【小説】 プログラムディレクター 澤野正樹(劇団 短距離男道ミサイル)
2017年1月16日(月)〜22日(日)
会場 rock cafe PETERPAN ピーターパン
会場となっているrock cafe PETERPANは、小さな空間に沢山のレコードと大きなスピーカーがある、音楽が充満しているみたいなカフェ・バー。この機会にぜひ入ってみてほしいお店です。上演でレコードが流れるかはわかりませんが…!(塚本)

オリジナルプログラムC 『税務署長の冒険』

作 宮沢賢治【小説】 プログラムディレクター 渡部ギュウ(SENDAI座☆プロジェクト) 演出 高橋菜穂子
2017年1月25日(水)〜28日(土)
会場 森民酒造本家
ある村の濁り酒の密造を摘発せんとする税務署長。それはもう物凄い執念で、なんだか滑稽に描かれているのです。このお話が酒蔵で聴けるなんてワクワクします。ワンドリンクで地酒が飲めたり…なんて期待も少しだけ(笑) (塚本)

オリジナルプログラムD 『ブレヒトmusikカフェ~今甦るブレヒトの詩とソング』

原作 ベルトルト・ブレヒト 訳 野村修、長谷川四郎【詩】 プログラムディレクター・構成 戸石みつる
2017年1月31日(火)〜2/5日(日)
会場 Dining & Bar JAZZ-VILEVAN SENDAI ビレバン
音楽の演奏があることが特徴的な作品はこれまでの杜劇祭にもありましたが、タイトルからここまでフィーチュアされるのは初めてです。開場も老舗のジャズダイニングバーとあって、いったいどんな内容になるのか楽しみです。

エクスチェンジプログラム『夢十夜』

作 夏目漱石【小説】、 プログラムディレクター 志賀亮史(百景社)
2017年1月11日(水)
会場 一軒家居酒屋大町へそのを
今年から始まった、他地域のリーディング形式の演劇祭とお互いにプログラムを交換し合うエクスチェンジプログラム。その第一弾は三重県のM-PADとのプログラム交換となる、茨城県つくば市を拠点として活動する百景社の『夢十夜』。
夏目漱石の他の作品とは異なる趣の『夢十夜』を百景社がどのように料理するのか、楽しみです。

フリンジプログラム1 『犬は鎖に繋ぐべからず』

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作 岸田國士【戯曲】
演出 大河原準介(演劇企画集団LondonPANDA)
2016年12月15日(木)
会場 SENDAI KOFFEE CO. センダイコーヒ―
先日当サイトでもインタビューいたしました大河原準介のプログラム1つ目で、東京で活躍されている宮城県出身の東谷英人も出演されます。会場はこれまでも演劇やダンス公演が度々行われている素敵なカフェです。(村岡)

フリンジプログラム2 『棲家』

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作 太田省吾【戯曲】
演出 和田ながら(したため)
2016年12月22日(木)、23日(金・祝)
会場 SENDAI KOFFEE CO. センダイコーヒ―
和田ながら(したため)は京都を中心に活躍されている演出家です。京都のお土産付きというのが気になります。同じ太田省吾の『はだあし』をコラージュして用いた作品を上演されたこともあるようで、今回どのように上演されるか楽しみです。(村岡)

フリンジプログラム3 『花いちもんめ』

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作 宮本研【戯曲】
演出 武内典子(劇団ひとりっこ)
2016年12月17日(土)、23日(金・祝)、24日(土) 
会場 旬房 街道青葉
同作品のひとり芝居を2014年から毎年上演されている竹内典子のプログラム。会場は街中の喧騒を忘れてしまいそうな落ち着いた内装です。敗戦後の日本をある母親の姿を通して見つめるこの作品とお店とのハーモニー、必見です。(村岡)

フリンジプログラム4 『演劇入門』

作 平田オリザ【ハウ・ツー本】
演出 横山真
2017年1月7日(土)、8日(日)、14日(土)、15日(日)
会場 Bar and Event hole Tiki-Poto チキポト
現代口語演劇の平田オリザが執筆したハウツー本をリーディング。彼の演出を直に受けている青年団の菊池佳南の出演も注目。カジュアルで隠れ家的雰囲気のお店は昨年の杜劇祭でも会場になっています。(村岡)

フリンジプログラム5 『変身』

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作 フランツ カフカ 訳 原田義人【小説】
演出 大河原準介(演劇企画集団LondonPANDA)
2017年1月21日(土)
会場 Kaffe tomte トムテ
杜の都の演劇祭2016フリンジプログラム大河原作品2作目は、ご存知の方も多いでしょうカフカの『変身』です。仙台での大河原作品に『おふとんのなか』から連続出演の小濱昭博が出演。会場は2015年7月に名取市から移転オープンした、野菜や玄米等体に良い素材を活かした創作料理のお店です。(本儀)

フリンジプログラム6 『ヤルタ会談』

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作 平田オリザ【戯曲】
演出 飯沼由和(言言)
2017年1月27日(金)、29日(日)
会場 純喫茶 星港夜 シンガポールナイト
旗揚げ以来、『東京裁判』『5seconds』『いやむしろわすれて草』と、いわゆるお芝居くさくない、日常的なトーンでの会話を主軸に据えた作品・戯曲を仙台に紹介し続けている演劇ユニット、言言(ことこと)の飯沼由和がついに、平田オリザの戯曲を手がけます。演出助手などで渋く舞台を支える事も多い若手、松浦良樹との共同作業がどんな作品を生むのか、注目です。(本儀)

フリンジプログラム7 『かもめ』

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作 アントン チェーホフ 訳 神西清【戯曲】
演出 大河原準介(演劇企画集団LondonPANDA)
2017年2月3日(土)
会場 TRATTORIA Companio カンパニオ
杜の都の演劇祭2016フリンジプログラム、大河原準介最後の一本は、チェーホフ『かもめ』です。岸田國士(1890-1954)、フランツ カフカ(1883-1924)と20世紀初頭の作家を取り上げておられましたが、アントン チェーホフは1860年生、1904年没と、さらに一世代古い作家にあたります。近年の仙台では三角フラスコが『三人姉妹』を、鳥屋が『ワーニャ伯父さん』を共に2013年に上演しました(日韓共同制作で『かもめ』を『カルメギ』に翻案製作したのもこの年でした)。どんな作品になるのか、注目です。(本儀)

フリンジプログラム8 『風の谷のナウシカ』

作 宮崎駿【漫画】
演出 稲森明日香(夕暮れ社 いなもり支店)
2017年2月17日(金)、18日(土)
会場 自家焙煎 珈琲まめ坊
8本あるフリンジプログラムの最後は、なんと宮崎駿(スタジオジブリ)の『風の谷のナウシカ』です。京都の、夕暮れ社 弱男ユニットの内部ユニット、夕暮れ社 いなもり支店の稲森明日香が演出。映画、マンガ共にファンの多いでしょうこの作品、一体どこをどうなさるのか、興味津々です。(本儀)



以上、公演情報の一覧でした。

今年は、「これはリーディング?!」という作品もありそうです。今後も関連情報を随時充実、更新して参ります。演劇祭を楽しむお供に、どうぞごひいきにお願いいたします。

関連サイト
杜の都の演劇祭 http://www.morigekisai.com/
M-PAD http://m-pad.tumblr.com/

記事のURL https://sencale.com/?p=9018